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サスティナビリティ

特集 | SDGs入門〜海と食編〜

『NAMIMATI』流 環境問題・社会課題への Z世代の向き合い方。

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「Z世代」とは、1990年代中盤から2000年代後半ごろに生まれたデジタルネイティブな世代のこと。そして湘南や海を起点に社会課題に取り組む『NAMIMATI』 は、そんなZ世代が中心メンバー。代表・齋藤克希さんに話を伺いました。

一般社団法人サステナブル推進協会『NAMIMATI』は、代表を務める齋藤克希さんを中心に、中学校からの同級生である高橋空さん、田中哲哉さん、そしてアルバイト先の元・同僚であったという村田隆さんの4人によって2020年7月28日に創立された。コロナ禍、「社会に対して何かアクションを起こしたい」という思いを共有したメンバーは、すぐに行動に移った。最初の活動はビーチクリーン。が、『NAMIMATI』のそれは一風変わっていた。「僕たちがフォーカスしていたのはZ世代。でも、自分自身、ビーチクリーンで同じ世代に出会ったことがなかった。それはつまり、今までのボランティア活動のやり方では、Z世代が集まらないことが証明されていたと思うのです」。

Z世代の視点からイベントを再構築したという齋藤さん。「ゴミを拾うのは素敵なアクションなのに、ビニールという『資源』をゴミを入れる袋に使うのはどうなんだろうって、すごく矛盾を感じていて。そこで、使い終わったビール原料のモルトが入っていた袋や、コーヒー豆が入っていた麻袋を再利用することで、環境面への配慮もしつつ、見た目もスタイリッシュにすることができた。こだわったのは『見た目』と『本質』。この2軸があったからこそ、僕たちのイベントやビーチクリーンが広がっていったと感じています」。

目次

Z世代が大切にする 「見た目」と「本質」。

彼らがポイントにした、「見た目」と「本質」とは一体どういうものだろう。スマートフォンが小学校高学年から身近にあり、情報のほとんどをSNSで入手するという、いわゆる「SNSネイティブ」(ちなみに家にはテレビはないそうだ)。「最近はSDGSという大きな方向性が、みんな自分のファッションの一環になりつつあるんじゃないでしょうか。『おしゃれ』『かっこいい』と思う感覚についても、モノではなく、みんな体験や経験に重きを置いているように思うのです。エビデンスをとっていない感覚的な話になりますが、留学や旅、社会課題への取り組みといったものに価値を見いだしているように感じますね」。

衣食住を、いかに持続可能な ものに変換できるか。

始まりはビーチクリーンだが、現在は海洋ゴミ以外の課題にも取り組んでいる。重視しているのは「衣食住に関わる」こと。「人が一番、時間とお金を使うのは衣食住だと思っています。生活する上で必要不可欠なものですから。そこをいかにサスティナブルなものにするか。Z世代の観点でイベントやプロジェクトをプロデュースし、その解決策を提案しています」。

例えばその一つ、「Sustainable Food Market」。廃棄されてしまう野菜から新しい商品を生み出すプロジェクトだ。「地元の有機農家さんから、虫食いや形を理由に商品にならない野菜が多くあることを聞きました。そこで、農家さんと連携し、クラウドファンディングで資金を集め、それらの野菜でカレーペーストをつくりました。これを使ったカレーをイベントで販売したのですが、値付けは”言い値“にしたんです。有機農業を応援し、フードロスを防ぐ意味が込められたカレーに対して『あなたはいくらの値段をつけますか』と問うことで、消費者一人一人が、能動的にサスティナブルの価値を考えてくれるんじゃないかなって。イベントでは平均1200円ほどで販売できました。原価との差額は農家さんへ。そういう仕組みをつくることができました」。

社会課題や環境問題に対する Z世代の一つの答え。

Z世代の力を信じ、活動を深めている『NAMIMATI』。イベントを開催すれば数百人規模となり、関わるスタッフも200人を超えるという。今、力を入れている2つのプロジェクトについても齋藤さんは教えてくれた。
 
その一つが「沖縄コーヒー農園プロジェクト」。温暖化の影響で、沖縄県もコーヒーが栽培できる環境になっている。沖縄は、コロナ禍で観光客が減り、経済が落ち込んでいる場所。そんな土地で、コーヒー栽培から地球環境への気づきを得てもらい、コーヒー豆やリーフを使った産品や観光型農業によって、地元経済を盛り上げようというもの。また、SDGs教育も行う社会農業を目指す。もう一つが、この6月に行われた「RE-GENERATION FESTA 2022」。Z世代で社会課題に対して取り組む団体や企業などのサミットだ。「そこに困っている人たちがいるからこそ、サービスや商品があるというのが理想の経済。『沖縄コーヒー農園プロジェクト』は、まさに地球や地域の流れを読みながら講じる解決策だと思っています。『REGENERATION FESTA』は、そんな思いを持ったZ世代が集まる場が必要だという気持ちから、今年キックオフを開催しました。今後は毎年行っていけたら。知見や価値観を共有し、積極的にアクションを起こして、ムーブメントにつなげていきたいですね」。
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使われなくなったモルト袋を再利用し、ビーチクリーンでゴミ袋として使用。
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『NAMIMATI』創立メンバー。一番右が齋藤さん。
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『Sustainable Food Market』で販売したカレーペースト。
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インスタグラムをはじめとしたSNSを活用し、活動の輪を広げる。国内はもちろん、アメリカ・シアトルにも支部を持つ。
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齋藤克希さん
さいとう・かつき●一般社団法人サステナブル推進協会『NAMIMATI』代表理事。Z世代が輝ける場所を目指し、活動を続ける。
photographs by NAMIMATI & Yuichi Maruya text by Yuki Inui

記事は雑誌ソトコト2022年9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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