MENU

サスティナビリティ

特集 | ローカルヒーロー、ローカルヒロインU30

『TIMELESS』代表/『ててて協働組合』共同代表・永田宙郷さんが選ぶ「自分を見つける本5冊」

  • URLをコピーしました!

みなさんは、普段どのような視点で「物」を選び、購入していますか? 「ててて商談会」の開催や伝統工芸・地域産業のプロデュースを行う永田宙郷さんがセレクトした本には、「物を見る力」を養うヒントが詰まっていました。

*30代の先輩からU30の皆さんへ。今回は先輩たちの選書を通して、U30の皆さんに、自分たちにもこれからやってくる30代をより豊かに、気持ちいい生き方をしてもらえたらと思い、11名の方に本を選んでいただいています。
 (164617)

美しいもの/白洲正子著、青柳恵介編、KADOKAWA刊
美術品や仏像をはじめ、白洲正子さんが感じた「美しさ」をまとめたエッセイ。白洲さんが美しいと思ったものについて、なぜそう感じたのか、をていねいにひもとき、押し付けがましくなく説明してくれます。

食器の買い方選び方/秋岡芳夫著、新潮社刊
「身体にしっくりくるサイズとは?」「生活の基本を整えるものとは?」。日本のものづくりのために尽力した秋岡芳夫さんが、工業デザイナーならではの視点で情報と目に頼りすぎない物選びの方法を書いた本です。

僕の仕事は、プランニングディレクターとして企業の課題を一緒に整理して解決したり、「ててて商談会」の開催などを通じて、日本のものづくりの「作り手」「伝え手」「使い手」をつなげたりすること。ここに行き着く20代の頭から30代前半までのいろいろな経験の中で、さまざまなジャンルの第一線で活躍する大人の方たちとの出会いに恵まれました。偶然の出会いもありましたが、話を聞くために自分からアポイントを取って会いに行くことも多かったですね。そうした「人の時間をもらうこと」は、20代までの特権だと思っているので、U30のみなさんにはぜひ、いろんな人と関わってほしいと思います。

また20代から30代前半は、ポジティブにもネガティブにも「違和感」を感じる力を養える期間だと思っています。違和感は、その人の価値観を形づくるのに欠かせないものです。そこで今回は先人たちが、さまざまな物や事柄のどういうところに着目し、美しさや違和感を感じていたのかが分かる本を選びました。『美しいもの』では、美への審美眼の厳しさで知られる白洲正子さんが、どんなふうに目を整えて自分の中の美と向かい合っていたのか、その一隅を感じ取れます。「審美眼がある」といわれる人は、多くのものに見て触れて、比較することで自分なりの美や心地よさを身につけていくものだと思います。

『ふつう』は、「普通」について多角的に考察するプロダクトデザイナーの深澤直人さんの”頭の中が覗ける“本です。自分の感覚を磨くための問いや答えは、特別な物ではなく、日常の中からも見いだせることに気づけると思います。

それにしても、「審美眼」「目利き」「選定眼」と、物選びに関連する言葉には、「目」「眼」といった言葉がよく使われています。確かに視覚から得られる情報は多いのですが、それがすべてではありません。大きさや重さ、風合いなど手、耳、肌で感じ取って初めて分かる勝手のよさは必ずあるものです。また、「○△さんが選んだから」という情報だけに頼るのも注意が必要です。『食器の買い方選び方』は、そんな自分の身体と生活習慣や文化で物を選ぶ大切さを教えてくれます。それは食器に限らず、暮らしのなかでの自分の心地よさ、美しさの見つけ方にもつながっているのです。そう考えると審美眼というものは、まずは自分の身体のサイズや五感の具合を知ることから始まるのかもしれません。

ふつう
深澤直人著、D&DEPARTMENT PROJECT刊
 (164620)

「普通って何だろう」。これはいちばん難しい問いかもしれません。「普通」のよさや、ある物を見たときに感じた「普通」など、プロダクトデザイナーの深澤直人さんが「普通」というものについてとことん考える一冊です。
すべての雑貨
三品輝起著、夏葉社刊
 (164622)

雑貨屋を営む三品輝起さんが、自らが愛して止まない「雑貨」を哲学として、社会現象として、生活の一部として、切り取り語るエッセイです。じっくり考え、ていねいに触れることで好きな理由が熟成されていくのを感じます。
ざわつく日本美術
サントリー美術館刊
 (164624)

展覧会「ざわつく日本美術」の図録。名作や国宝と呼ばれる日本の美術品の柄や色について、そこに込められた意味や思いが解説されています。つくり手が色や模様に託した思いを読み取る方法のヒントになると思います。
photographs by Yuichi Maruya text by Ikumi Tsubone
記事は雑誌ソトコト2023年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね
  • URLをコピーしました!

関連記事