日本国内のマクドナルドは約2900店舗。そのうちの約7割がフランチャイズ店舗です。それぞれの店舗が「おいしさと笑顔を地域の皆さまに」をモットーに、地域とともに発展していく店舗経営をしています。金香梅さんは2021年末、熊本県宇城市にあるマクドナルド松橋(まつばせ)店のフランチャイズオーナーになりました。37歳の若い、マクドナルドの次世代を担うフランチャイズオーナーです。マクドナルドの経営理念に共感し、フランチャイズオーナーになるまで、そしてなってからの熱いサポート体制がうれしいという金さんに、開業までの道のりやオーナー業の魅力について聞きました。
キッチンカー経営で抱えていた3つの悩み。答えはマクドナルドにあった。
金香梅さん(以下、金) 私は中国のハルビン市で育ちましたが、日本に対しては礼儀正しい人たちの国という印象を持っていました。電気製品やクルマなどの技術力の高さにも興味があって、学生時代に日本語を勉強しました。高校を卒業した後、深圳(シンセン)にある日系企業に就職し、通訳の仕事をしていたのですが、そのときの日本人上司が人を想い、常に人の立場に立って物事を考える方で、感銘を受けました。その上司のような人になりたい、成長したいと思って日本に行くことにしたのです。
まず関西国際大学で4年間、経営ビジネスを学び、その後、関西大学大学院で社会福祉の研究をしました。中国でも少子高齢化が進んでいて、そのとき自分には何ができるんだろう? と、詳しく学んでみたかったのです。
大学院卒業後は、大阪にある行政書士の事務所で働いていました。ただ、私はもともと商売に興味があり、幼い頃に経験した中国のお祭りや屋台の楽しい思い出もあって、自分の店をもち、人を喜ばせたり、笑顔にしたいという気持ちがありました。そこで、まず日曜限定で屋台テントの店で唐揚げの販売を副業で始めました。それが好評だったので、キッチンカーを購入して独立し、大阪の梅田で3年半ほど、唐揚げの販売を続けました。
金 おかげさまでお客様にもたくさん来ていただき、経営は安定していましたが、3つの悩みを感じるようになったのです。
一つは安全で安心な食事の提供が難しい点。もちろん衛生面はしっかり管理して販売をしていましたが、外での販売なのでフードセーフティは難しい点が多く、自分のなかで妥協できなくなっていきました。
もう一つは快適なお食事空間を提供できないこと。雨の日、風の日、冬の寒い日など、簡易テントの下で唐揚げを食べていただくのが申し訳なかったのです。
そして最後は安定した雇用を生み出せないことです。短期のアルバイトを雇っていたのですが、安定した雇用ができていませんでした。家族のサポートをしなければいけない方がアルバイトをしてくれていたのですが、私の店だけでは十分な収入にならず、別のところで働くようになりました。「一緒に働きたい」と言ってくれる人がいるのに、その気持に応えられなかったのがつらかったのです。
そしてある日、それらの悩みを解決してくれるものがマクドナルドにあることに気がつきました。
経営者視点で見るマクドナルドのすごさ。
また、経営者視点で店舗に行くと、カップの直径、ストローの太さ、テーブルの高さなど、すべてがお客様の立場に立って計算がされているとわかるのです。そこで、マクドナルドのホームページを見たとき、フランチャイズオーナーの募集案内があったので、コンタクトをとりました。
ソトコト マクドナルドではオーナーになるまで担当者との面談に始まり、実際の店舗でのクルー(スタッフ)体験、先輩オーナーとの面談、6〜18か月以上に渡る店舗研修プログラムが用意されていると伺っています。金さんは研修期間中、何を学びましたか?
金 私は約1年間、研修を受けました。マクドナルドシステムの一員となって感じたのは、マクドナルドのピープルの温かさ。私が研修を受けた大阪のフランチャイズ店舗のオーナーは、今では「お父さん」と呼ぶ間柄です。そのお父さんもそうですし、店舗の方、日本マクドナルドの担当者の方など、みなさんに支えていただきました。
また「ハンバーガー大学」もあります。私の場合、コロナ禍で教室での対面講義はなかったのですが、オンライン講義は受けることができました。お世話になった皆さんに共通していたのは、マクドナルドは常に時代の最先端を走り、最高の品質の商品を提供しているというプライドを持っていたことです。
そして、「マクドナルド愛」の強さも。研修中の私への「愛」もすごくて(笑)、本当にありがたかった。今はその皆さんへ恩返しをしたい気持ちでいっぱいです。私もキッチンカーの経営者でしたが、経営に関する「数字」の見方や分析の方法、マーケティング手法など、改めて一から勉強させていただきました。
顔なじみのお客様から「娘が高校生になったら、 アルバイトに行かせるからよろしくね!」
金 開業ももちろんうれしかったですが、キッチンカー時代と違い、今は60人の仲間(社員やクルー)がいることが本当にうれしいです。もちろんそれだけ責任も重くはなりましたが、コロナ禍で失業者の増加が問題になるなか、雇用の場所をつくって誰かの役に立てることは、この仕事の魅力だと感じます。
開業から1年が経ち、よく来てくださる顔なじみのお客様もたくさんできました。中学3年生の娘さんがいるお客様が「来年、うちの娘が高校生になったらアルバイトに行かせるからよろしくね!」と言ってくださったりしてありがたいです。宇城市の皆さんはやさしいですし、近くに海もあって魚もおいしい。とても暮らしやすく、働きやすくて満足しています。
多様性に満ちた、暮らしやすい地域づくりへ。
金 (松橋店の)前オーナーは今も他の近隣店舗を経営していますし、熊本にいる他のオーナーの方々ともよくコミュニケーションをとらせていただき、会議やイベントなどに参加しています。そのようななかで松橋店の周辺に特別支援学校があることを知り、学校訪問もさせていただき、生徒さんの2週間の現場実習を受け入れることも決まりました。マクドナルドで働いたという経験を自信につなげてほしいです。
また地域の高校生にはアルバイトを通じて、社会に出る前の人生経験を積む場としてこの店を活用してほしいです。あとは、女性が働きやすい職場づくりを進めていきたいですね。たとえば、子どもが病気になったときに気兼ねなく休めるような仕組みをつくりたい。子育てが一段落した方にも仲間になっていただき、第2の人生を充実させる場にしていきたいです。
最終的にはこの熊本や宇城のまちが多様性に満ちて、暮らしやすく、働きやすい場所になって、Uターン、Iターン移住してくれる人が増えるといいなと思います。
金 日本マクドナルドは去年、50周年を迎えました。半世紀にわたって培ってきたブランド力は本当に強いです。マクドナルドには、ここにしかない「宝物」がたくさんあって、オーナーを目指す方には自信をもってお勧めできます。素敵な仲間と出会える場所なので、興味がある方はぜひ、フランチャイズオーナーのビジネスにチャレンジしてみてください!
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