ローカルグッド、ソーシャルグッドな活動をそれぞれの形で楽しみながら行い、ワクワクする未来を想起させてくれるU30の皆さんを紹介。
お茶を通し、対立のない やさしい世界をつくりたい。
岩本さんは、幼少期にテレビで茶人を見て感動し、裏千家に入門。以来、ずっと茶道を続けてきた。お茶とビジネスが結びついたのは、大学3年生の時のことだ。「大学1・2年の時のフィリピンと米国への留学で、日本文化やお茶のすばらしさを改めて実感しました。そして帰国後に自分ができること、すべきことを考え、衰退産業だと言われるお茶業界に一石を投じたいという想いで『TeaRoom』を起業しました」と語る。事業で重視しているのは、お茶の生産から加工、企画、販売まですべてを手掛けることだ。創業時から静岡県にあるお茶畑と工場を承継し、生産者と共に歩んできた。お茶の生産・加工ではオープンでフェアな取引を大切にし、自らも生産者の視点を持ちながら、人にも自然にもサスティナブルなお茶づくりを進めている。企画の際は、25歳で茶名を拝命した岩本さんの知識と経験を「総動員」しながら、お茶の多面性を生かした製品をつくったり、イベントを行ったりしている。岩本さんが目指すのは、お茶を通して「対立のない優しい世界」をつくっていくこと。「おいしいお茶を目の前の誰かに出す精神性を持つ人が増えれば、人類ベースで人がつながり、平和が広がるのではないでしょうか」と問いかける。これからも、岩本さんは「お茶室が世界に拡張していくイメージ」をもって、挑戦を続けていく。
YOU IN
稽古事業
『TeaRoom』が定期的に開催している、茶の湯に触れるお稽古の場。忙しく情報の飛び交う毎日の中で、自らを省みる機会を参加者に提供している。内容は思想や哲学、飲、食、菓子、道具など多岐にわたっており、起業家やアーティストなど最前線で活躍する若者が多く通う。
text by Miho Soga & Yoshino Kokubo
記事は雑誌ソトコト2023年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
U」など9種類のブレンドティーが販売されている。