ローカルグッド、ソーシャルグッドな活動をそれぞれの形で楽しみながら行い、ワクワクする未来を想起させてくれるU30の皆さんを紹介。
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海での危険をすぐ伝えられる 「お守り」になる安心システム。
千葉佳祐さんは、水産業のまちとして発展した北海道紋別市出身だ。実は、羅臼町で漁師をしていた祖父を海難事故で亡くしている。「海沿いのまちでは、海の事故で大怪我をしたり、行方不明になったり、命を落としてしまったりする話をよく聞きます。祖父の体は見つからず、家族は行き場のない思いを抱えました。遺体が揚がらないと死亡証明ができず、遺族は保険金が受け取れない、母子家庭として認められないなど、制度面でも困ることは多いんです」と話す。どうしたら悲しい事故をなくせるのか。大切な人の帰りを待つ家族が、どうしたら安心できるか──。その問題を解決すべく千葉さんが開発したのが、海難救助効率化サービス『よびもり』だ。2021年秋から有料版サービスをスタートした。漁師が防水仕様の専用デバイスを首から掛けるなどして常に身に着け、緊急時にデバイスのボタンを3秒長押しするだけで、予め設定した仲間や家族にネットを介して1分でSOSを届けられるシステムになっている。仲間や家族が、時間が経ってから「帰ってこないのはおかしい」と捜索し始めるのではなく、すぐに危険をキャッチできる点が特徴だ。「水産業に関わる人だけでなく、釣りや海でのレジャー、観光など、海に出る人やその家族みんなの安心を目指しています。海に関わる救助のネットワークを全国につくりたいです」。
よびもり端末とアプリ
海での危険を周囲の仲間へ約1分で知らせるシステム。これにより捜索開始までの時間は、海上保安庁の目標とされる2時間(落水事故の場合)と比べ大幅に短縮。大切な人の帰りを待つ家族の不安を軽減できる。現在、エンジニアやセールスなどを募集中。詳細はQRコードへ。
新北海道スタイル デジタルイノベーションプログラム
道内の自治体と課題解決につながるスタートアップ企業をマッチングする「新北海道スタイル デジタルイノベーションプログラム」に採択され、羅臼町で「日本で一番、救助が早い海をつくる!」をテーマに、漁師と観光船事業者に「よびもり」をセッティングして実証実験中。
text by Miho Soga & Yoshino Kokubo
記事は雑誌ソトコト2023年1月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。