2022 ニュープレイスカタログ。

特集 | 人が集まるプレイスメイキング術 | 2022 ニュープレイスカタログ。

2022.11.09

全国にはユニークでおもしろい場所がたくさんあります。本特集では近年誕生した魅力的な「行ってみたい場所」を一挙ご紹介!プレイスメイキングの理解も深まりますよ。

1. ゲストハウス 酒房“SHUBOU”-多満自慢

東京の酒蔵に滞在し、 心ゆくまでお酒を楽しめる宿。

日本酒をたっぷりと味わえる旅をしたい、そんな人にぴったりなのが、江戸時代から続く東京都福生市の老舗の酒蔵、『石川酒造』の敷地内に新設されたこのゲストハウス。「酒蔵に泊まる非日常を味わっていただけます」と語るのはゲストハウスを運営する『北村商店』社長の北村公克さん。出来立てのお酒や、庭園のある敷地内の散策なども楽しめる。「心ゆくまで飲んで、酔って、語って、泊まるというのは酒蔵ステイの最高の楽しみ方です」。

Q. 運営で大切にしていることは?

A. 日本酒未経験の方やアルコールが苦手な方でも楽しめるように、日本酒カクテルやノンアルコールの甘酒カクテルなども用意しています。地域のおすすめスポットなども紹介し、ステイを楽しんでいただけるように心がけています。

『北村商店』代表取締役社長•北村公克さん

オープン年月日/2021年7月17日
住所/〒197-8623 東京都福生市熊川1-11 石川酒造内

2. ローカル×ローカル

南伊豆のローカルな暮らしを 満喫できるゲストハウス。

地域おこし協力隊隊員として縁もゆかりもない静岡県・ 南伊豆町へ移住した伊集院一徹さん。協力隊隊員時代にローカルメディアを立ち上げ、そこで培った人とのつながりを活かし、ゲストハウスをつくった。宿では、漁師や百姓など、地元の人たちの日常にお邪魔する暮らし体験を提供。Wi-Fi環境も整っているのでワーケーションもできる。もちろん、近くの温泉や海でのんびり過ごすのもおすすめ。「宿のリノベーションでは、約200人が関わりました。唯一無二の空間となっています」。

Q. 運営で大事にしていることは?

A. 心がけているのは、なにかを始めるときに「自分のやりたいことをやる!」という主観的な視点と、「それは、本当におもしろいのか」 という客観的な視点です。この2つの視点を意識しながら、トライ&エラーを繰り返しています。

『ローカル×ローカル』オーナー・伊集院一徹さん

オープン年月日/2021年3月20日
住所/〒415-0303 静岡県賀茂郡南伊豆町下賀茂842-3

3. 那須塩原市図書館「みるる」

地域の人々の交流の場として 利用されている図書館。

栃木県那須塩原市にあるJR黒磯駅に隣接する市立図書館。黒磯の地域活性化の一環として2020年に設立された。特徴はなんといってもその建物。木をふんだんに使っていて、高い天井が開放的だ。図書館のスタッフも居心地のいい空間になるよう心がけている。併設されたカフェで本を読むのもよし、館内にあるさまざまな椅子から好みのものを探してくつろぐのもよし。図書館だが会話は禁止されていないので、来館者同士の交流の場にもなっている。

Q. どんな人に来てほしいですか?

A. 本が好きな方はもちろん、今まで図書館に来る機会がなかった方にも来ていただきたいです。来館された方が読みたいと思える本と出合ったり、その世界に触れて、読書のきっかけになったりすればいいなと思います。

『那須塩原市図書館』管理係•田川絢乃さん

オープン年月日/2020年9月1日
住所/〒325-0056 栃木県那須塩原市本町1-1

4. フベンな本屋 むすぶん堂

昭和レトロな門前町にある こぢんまりとした「まちの本屋」。

埼玉県熊谷市にある『妻沼聖天山』は、本殿が国宝に指定されている由緒あるお寺だ。その門前にあった無料休憩所の一角にオープンした書店。「まちの本屋さんからいろいろなことを学んできましたが、そんな本屋がどんどん減っています。本当にまちに本屋は必要ないのか、自分でやってみようと思い立ちました」と店主の福島聡さん。新刊から古書、絵本など福島さんがセレクトした本が並ぶ。「地域にあるほかのお店などとも連携して、まちの歴史や魅力も発信していきます」。

Q. お店の魅力は?

A. 本の位置がすぐに把握できる狭さと冊数。人が少ない時間は、ほぼ貸し切り状態です。また、フロアの半分が「お休み処」なので、おいしくてリーズナブルなコーヒーが味わえます。そんな緊張しない雰囲気もいいと思いますよ。

『フベンな本屋むすぶん堂』店主・福島聡さん

オープン年月日/2021年1月8日
住所/〒360-0201 埼玉県熊谷市妻沼1504-3

5. 二号店

市場の中の古本屋は みんなのセカンドプレイス。

関西で古書店を営む、5人の店主が共同で構えた古本屋。「それぞれの二号店として、また町の人や関わってくれる人の二号店(=二番目の場所)にしようと名付けました」と話すのは、言い出しっぺの三皷由希子さん。兵庫県尼崎市杭瀬の『杭瀬中市場』にあるお店には、5人の店主が選んだ本に加え、貸棚ユーザーの本も並ぶ。「それぞれの棚に個性があって、いろいろなジャンルの本に出合えるのが楽しいと思います。中学生、高校生など若い人の来店、大歓迎です」。

Q. 運営で大事にしていることは?

A. 誰でも参加できること。開店時、本箱づくりに協力してくれた人を中心に地域の人が店番をしてくれたり、店頭を物販やイベントに使ってもらったり。運営のモットーは、「無理せず、肩に力を入れない」です。

『古書みつづみ書房』店主・三皷由希子さん

オープン年月日/2021年3月20日
住所/〒660-0814 兵庫県尼崎市杭瀬本町1-18-12

6. 香林居

歴史や美が集積する街・金沢で 「新しい金沢時間を処方する」ホテル。

『兼六園』や『金沢21世紀美術館』が近い香林坊地区。古都・金沢市の中心エリアだ。そこにオープンしたホテル『香林居』で、まず目を引くのは1階の蒸溜所。「白山の水と森林素材を使って精油の精製を行っております」と支配人の笠井明さん。「工芸品を扱うギャラリーが入っていた建物を改装しました。歴史や美が集積されているこの場所から、サウナやアイソレーションタンクなど『新しい金沢時間を処方する』ことを発信したいです。ぜひ香林居の世界観に浸ってください」。

Q. どんな人に来てほしいですか?

A. 館内細部へのこだわりが強いので、建築やアートが好きな方が多く、このホテルを目的にいらっしゃる方も。旅行やホテルが好きなスタッフも多いので、同じような興味を持たれている方は楽しんでいただけると思います。

『香林居』支配人•笠井明さん

オープン年月日/2021年10月1日
住所/〒920-0981 石川県金沢市片町1-1-31

7. 佐賀の湯処 KOMOREBI

地域の新しいコミュニティの場は、 ゆったりと温泉を楽しめる湯処。

温泉とサウナと食事、このすべてが楽しめる『KOMOREBI』。福岡県内で2か所の温泉施設を運営する『最所産業』の創業者が、出身地の佐賀県佐賀市に「新たなコミュニティをつくり、地域に貢献したい」と創設した。源泉掛け流しの温泉を、露天など8種類のお風呂で楽しめる。サウナには大型スクリーンが設置され、レストランには地元の食材を使った料理が並ぶ。「モットーは『お客様のありがとうのために』。より楽しんでもらうため、工夫し続けています」と同社の山口竜市さんは語る。

Q. 施設の魅力は?

A. なによりも地下1126メートルから毎分625リットルの豊富な湯を湧出する45度の天然温泉です。アルカリ性で「美肌の湯」と呼ばれています。このお湯を使った「露天風呂」や「家庭風呂」をご用意しています。

『最所産業』取締役部長•山口竜市さん

オープン年月日/2022年4月26日
住所/〒840-0806 佐賀県佐賀市神園6-4-35

8. CHILL

食とアートと音と映像、 複合的なコンセプトが交差。

神奈川県川崎市の元・サウナだった建物が改装されて誕生した『CHILL』。コンセプトは「食とアートと音と映像と」。イタリアンレストランやスペシャリティコーヒー、クラフトビール、スイーツなど4つの飲食店の味を楽しめるラウンジと、アート空間『通路美術館』が共存している。「カフェ目的で訪れた人が、ほかの食やアートに出合い、触発される。そんな体験がおもしろいのか、毎日通う方もいらっしゃいます」と運営会社の『Bonvoyage』代表・和泉直人さんは語る。

Q. 運営で大切にしていることは?

A.『CHILL』には子育て世代を中心に、年間約2万人が訪れます。多世代が訪れるので求められるものは千差万別。マニュアルに頼らず、その方が喜ぶ最適なサービスを一人ひとり考えて個別解を出すことを大切にしています。

『Bonvoyage』代表•和泉直人さん

開業年月日/2020年8月8日
住所/〒211-0044 神奈川県川崎市中原区新城5-7-12

9. MMoP

心地よい暮らしと写真文化を楽しむ 町の“セントラルガーデン”のような場に。

雄大な浅間山の麓、長野県・御代田町にできた複合施設『MMoP』。地元の衣食住を提供する店舗と、五感で感じる多様な写真表現を楽しむことができる。施設の中心となる『御代田写真美術館』や、年に1度のアートフォトフェスティバルを通じて、写真文化を発信。「地域に住む方々のセントラルガーデンのような、老若男女が集う開かれた場所にしたい」と『MMoPプロジェクト』室長の岸田義正さんは語る。今後は、ものづくりを楽しめるスペースも整えていきたいと考えている。

Q. 設立のきっかけは?

A. 御代田町と共同で行っている『浅間国際フォトフェスティバル』の成功を受け、『メルシャン軽井沢美術館』跡地に、この複合施設をオープン。浅間山麓の豊かな自然に育まれた御代田町の魅力と写真文化を発信しています。

『MMoPプロジェクト』室長•岸田義正さん

設立年月日/2021年8月24日
住所/〒389-0207 長野県北佐久郡御代田町大字馬瀬口1794-1

10. mame Co-

石部に根付く小さな寄り合い「豆講」。 その精神を受け継ぐみんなの公民館。

地域おこし協力隊隊員として滋賀県湖南市石部に移住した長砂伸也さん。移住者と地域住民が何か一緒にできる場所として「私設公民館」を立ち上げた。「みんなの好きなことを持ち寄ったいろいろなお店が集まっています」。たとえば高齢者が企画する健康麻雀会、肉まん屋、珈琲豆の焙煎所などなど。「ただ、“何屋”なのかがわかりにくくて、ふらっと立ち寄ってもらえないのが課題です」と長砂さんは笑う。この場所をおもしろがってくれる人、応援する人たちに支えられている。

Q. 施設の魅力は?

A. 公民館と謳っているので、ただサービスを提供する人・される人という関係にはしたくありません。なので「いらっしゃいませ」とは言わないようにしています。多くの人に頼ったり、甘えたりしながら運営しています。

『mame Co-』館長•長砂伸也さん

開業年月日/2020年8月7日
住所/〒520-3106 滋賀県湖南市石部中央4‐4‐13

11. 三宅町交流まちづくりセンター MiiMo

住民とともにじっくりと つくり上げた町の新たな交流拠点。

奈良県・三宅町は20年後の将来像を「自分らしくハッピーにスモール(住もうる)タウン三宅町」としている。そのシンボル的な施設が『MiiMo』だ。住民とともに構想から完成まで4年をかけてつくり上げた。ホールや会議室、図書フロア、学童保育、コワーキングスペースなどがあるので、「町内外から人が訪れていて、これまでになかった人の流れが生まれています」と三宅町政策推進課の松田大樹さん。『MiiMo』が新たな町の交流拠点になっている。

Q. どんな人に来てほしいですか?

A. 複合施設なので、世代を問わずいろいろな方に利用していただきたい。もちろん町外の方も利用できます。「やりたい気持ち」を応援し、実現できる場所にしたいので、そういう気持ちの方の利用が増えてほしいです。

三宅町 政策推進課•松田大樹さん

開業年月日/2021年12月18日
住所/〒636-0213 奈良県磯城郡三宅町大字伴堂689

12. 台所ようは

大勢が集まる、その目的は 「毎日食べたくなるごはん」。

出張料理人として国内外を飛び回っていた食空間演出家の大塚瞳さん。コロナ禍でオープンしたのが、福岡県福岡市の路地裏にある古いアパートをリノベーションしたこの店だ。「スタッフは女性ばかり。毎日『今日が初日だ!』と気持ちを新たに開店しています」と大塚さん。落ち着いていて居心地のよい空間で提供されるのは、「毎日食べたくなるごはん」。奇をてらわない滋味深い料理に、35席ある店内はいつも老若男女でにぎわっている。

Q. お店の魅力は?

A. 一歩、中に入るとここが博多であることや、時間の流れを忘れてもらえ、まるで誰かの家に招かれた雰囲気を楽しんでもらえること。そして、日々農家から持ち帰る新鮮な食材を使った家庭料理をお召し上がりくださいませ。

食空間演出家、研究家•大塚瞳さん

オープン年月日/2020年10月10日
住所/〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名1-4-28

13. 道の駅西条のん太の酒造

東広島市のさまざまな魅力が交差し、 観光客も地元の人も楽しめる。

広島県東広島市西条町にオープンした『道の駅西条のん太の酒蔵』。コンセプトは、「ひと、まち、もの、とき。東広島ゲートウェイ」。地域の特産品や旬の食材、地元グルメが揃うと同時に、市の歴史・観光・地域情報などを提供し、日本有数の酒どころ西条が育んだ食文化なども紹介。東広島市の新たな魅力を発見し、体験の扉を開く場となっている。企画広報担当の中谷梓さんは、「市の玄関口として、観光客だけではなく地域の方々にも利用していただきたい」と語る。

Q. 施設の魅力は?

直売所では、地元の方を中心に結成している『出荷者会』が、市内各地域の生鮮品や加工品などを取り揃えています。商品を通して、それぞれのまちの魅力や特産品、生産者の方々の顔やこだわりを感じていただけるところです。

『道の駅西条のん太の酒造』企画広報担当•中谷梓さん

オープン年月日/2022年7月15日
住所/〒739-0041 広島県東広島市西条町寺家10020-43

14. une

田舎暮らしの楽しさを体験し、 自分らしい暮らしを再編集。

「田舎にある、未来へつながる豊かな暮らしのヒントを発信していきたい」と考えた『赤倉編集室』の代表・山﨑香菜子さん。2022年4月、山形県・最上町の赤倉温泉に子どもの遊び場、レンタルキッチン、土産物屋、コワーキングスペースのある『une』をオープンした。「『こうあるべき』を決めず、訪れる人が自分の発想を生かして暮らしを編集してもらう場にしたい」という山﨑さん。今は子ども連れが多いが、ワーケーションでの活用にも期待している。

Q. 施設の魅力は?

A. 床から天井までふんだんに最上町産の木材を使っていて、それがいい具合に経年変化して味わい深い建物になっています。また、森に囲まれた環境なので、鳥や虫の声を聞きながら自由に過ごすことができます。

『赤倉編集室』代表•山﨑香菜子さん

オープン年月日/2022年4月3日
住所/〒999-6105 山形県最上郡最上町大字富澤2344

15. Coworking Space KLATCH Ishigaki

気分に合わせて部屋を選べる 石垣島のワーケーションスペース。

コロナ禍でカフェなどが休業し、沖縄県・石垣島のリモートワーカーたちは仕事ができる場所がなくなってしまった。そこに誕生したのが、このコワーキングスペース。雰囲気の違うスペースが4つあり、利用者はその日の気分で選択できる。「利用者には今までにない働き方を実践している人が多いので、ただ仕事で利用するだけではなく、横のつながりもつくれる場にしていきたいです」と運営責任者の鈴木陽介さんは語る。島内外から人が集まり、仕事も遊びも楽しんでいる。

Q. 運営で大切にしていることは?

A. いちばん大切にしていることは、石垣島を好きになってくれる人を増やすこと。そのために、石垣島に住んでいる人と、島の外からワーケーションで来た人が、この場所でゆるやかにつながることができるように心がけています。

『Coworking Space KLATCH Ishigaki』 運営責任者•鈴木陽介さん

オープン年月日/2021年4月29日
住所/〒907-0022 沖縄県石垣市大川278 TAMAビルⅡ 201号室

text by Reiko Hisashima

記事は雑誌ソトコト2022年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。