Z世代やクリエイターから高い支持を得ているプロフィール作成ツール「lit.link」。この生みの親である『TieUps』代表の小原史啓さんがU30のために選んだのは、近い未来の社会のイメージが広がる本や、自身の人生を変えた大切な本でした。
いまの世の中は、SNSを通じて誰もが情報を発信できるようになり、インターネット上には情報があふれていますが、僕たちは「欲望に流されている」と自覚しなければなりません。自分で情報を選んでいるように見えますが、流れてくる情報のほとんどは個人の趣味嗜好に合わせたアルゴリズムによって操作されているものだからです。僕はこれを「欲望アルゴリズム」と呼んでいますが、これからは欲望アルゴリズムで操作されやすい個人の趣味嗜好から、社会的な思想・思考が世の中で重要になっていくと僕は考えています。たとえば、ものづくりの背景に共感した人たちが商品を購入する「共感消費」のように、何かを買ったり、選んだりする際、もっとも大切にされるのは人物や物事のもつストーリーになるでしょう。SNSなどでの発信も「好き・嫌い」よりも、個人のポリシーや価値観を伝えていくものになっていくと思います。
そうした世の中の動きをアメリカの事例を通じて教えてくれるのが、『Weの市民革命』です。タイトルにある「We」とは、環境問題や人種、LGBTQといったあらゆる差別、移民問題などを抱えたアメリカでミレニアル世代を中心に広がった、個人の自由よりも世界全体の人権を重んじる考え方や、それをもとにした消費行動を指します。つまり、社会的平等を追求することが自分たちの共同責任だと考えるようになったのです。この本では著者であるアメリカ在住の文筆家・佐久間裕美子さんが、自らの考察とともに「We」に関連する事象をまとめています。2020年に出版された本ですが、僕はここに書かれているのは日本の未来の姿だと捉えています。これからの社会をつくっていくU30のみなさんにも、ぜひ読んでもらいたいです。
『「物語」のつくり方入門 7つのレッスン』は、「物語の大まかな輪郭をつくる」から始まる7つの章を通じて実際の物語の組み立て方やパターンなどを解説する一冊。これからはストーリーがさらに大事になるという話をしましたが、誰かに教わる機会があまりない「ストーリーの構築の仕方」を楽しみながら知れます。
玉樹真一郎著、ダイヤモンド社刊
エクナット・イーシュワラン著、スタイナー紀美子訳、早川書房刊
司馬遼太郎、文藝春秋刊
アメリカ・ニューヨーク在住の文筆家である佐久間裕美子さんが、「We」の考え方から始まった社会の変化から消費行動の変化のリアリティを書き記しています。日本にも「We」の波が少しずつ起きていると感じています。
「物語」のつくり方入門 7つのレッスン/円山夢久著、雷鳥社刊
物語を書きたいと思っている人に向けて書かれた本ですが、僕自身は「何のためにこの会社があるのか」ということを考える際に参考にしました。とてもわかりやすく書かれているので、楽しく読み進められます。